「八神さん!?」


「父さんっ!?」


「や、やめろ……うわああああああっ!!!」



 銀の刃が宗雄さん目がけて走る。


 ――かと思ったら、メスは八神さんの手から零れ落ち。



「ふっ!」



 掛け声と共に後ろに引かれた拳が……宗雄さんの顔面にブチ込まれる!!



「……ぶふっ!!」



 ぺしゃり、と宗雄さんの鼻が潰れる。


 メスが突き刺さった畳に撃沈する宗雄さん。


 拳を引いて、八神さんが小さく息を吐く。



「人の命を守る道具で、人を傷つけるわけがないだろう」



 凛と宣言する姿は、私たちに待ちわびた安堵をもたらした。