「どういうことだ、貴様らっ!!」
「あら、決まってるでしょ? アンタの奥さんは最初からいなかったって話。
当然よねー。アンタ、残念すぎる男だもの。誰が好き好んで結婚しますか」
ふふんと笑みを浮かべ、宗雄さんを見下す歩美さん。
「『さゆり』はアンタに近付くためのあたしの仮の姿よ。あたしたち姉妹はよく似てるから、変装しなきゃバレると思ってね」
「謀ったな……」
「アンタをこの家から追い出すためよ、何だってするわ。
お金はともかく、姉さんたちの大事な宝物にまで手を出して……同じ人間とは思えない」
歩美さんの視線を受け、隼斗が頷く。
やがて彼が懐から取り出したのは、小さな機械。