宗雄さんの動揺は、私にも感染した。
その女性は、前に写真で目にした彼女そのものだったから。
「あら、化粧取っただけなのに仮にも自分の奥さんの顔も忘れちゃったの?
超サイテー。だからアンタは威張るだけのチンケな男なのよ狸野郎」
「……歩美ちゃん」
八神さんが声を漏らすと、宗雄さんに辛辣な言葉を浴びせていた彼女は一変、明るい笑みを浮かべた。
「ハーイ、久しぶり! ……って、セラちゃんたちにこの姿は初めましてかな?
あたしは霧島歩美! 彩子の妹で、隼斗と郁人の叔母さんでーっす!」
化粧っけのないその笑みは、艶やかというより温かなもの。
「これでいいのよね、真之義兄さん」
「ああ」