「きゃーっ!! 郁人くん何してるの!」


「隙を見せたら止められる。やられる前にやっただけだ」


「いやそれ堂々と言うことじゃないから! 隼斗大丈夫!?」


「情けねぇ……こんなんでブッ倒れるほどヤワだったか、うちの兄貴は?」



 私に上体を起こされた隼斗が、郁人くんを見上げる。


 けれど生気のない瞳のまま、無言のまま。



「へぇ、そう。無視? ――ざけんのも大概にしろよコラァアアアッ!!」



 再度強烈な衝撃が隼斗を襲う。


 しかも2発!



「きゃああああっ! 隼斗っ!!」



 私が手を伸ばす前に、郁人くんが胸倉を掴む。



「……立てよ」



 その声音は、聞いたことがないくらい低く、鋭い。



「アンタ、俺の攻撃なんか屁でもねぇはずだろ? 何倒れてんだよ」



 問い詰められても、隼斗は物言わぬまま。