「くそっ……そうだ、隼斗をこっちに連れて来い!」



 その言葉に戦慄する。


 人質は、郁人くんだけではなかったのだから。



「……ふふ、はは。あんまりにも大人しいから忘れていたよ」


「あっ……オッサン汚ねぇぞ!」


「黙れ小僧!!」


「……朝桐、明らかに俺たちのほうが不利だ。あまり刺激しないほうがいい」


「でもよ和久井!」


「今はアイツの安全が第一だ!」



 こうなってしまっては、攻撃の手を止めざるを得ない。



「もう少しのところだったなぁ八神。ガキ共には驚かされたが、舵を握ればこっちのもの。俺の言う通りにしてもらおうか」



 私たちは息を呑み、意地の悪い笑みを浮かべた宗雄さんの様子をうかがう。