「そろそろ警察も感づく……が、その前にお前らを始末すれば全てが上手くいく。

 どうせなら、こいつも一緒のほうが手っ取り早いな」


「郁人くんっ!」



 突き飛ばされ、倒れ込む郁人くん。


 彼をしかと抱き留めた八神さんは、小さな肩口へ額を押し付けるように詫びる。

 

「すまない郁人くん……本当に、すまない……!」


「……とう、さん……」



 ただただ謝り続ける八神さんは、気づいていない。


 嫌な笑みを浮かべた男たちが、にじり寄っていることに。



「八神さんっ、郁人くんっ! 逃げてくださいっ!」


「大人しくしていろ!」


「……んむっ!?」



 弾かれたように振り返った八神さんが、男に口を塞がれた私を認める。


 次いでキッと睨み付けた正面で、宗雄さんはやはり余裕の笑みを崩していなかった。