「……医療格差、か。あまりにも高度な病気の治療を優先したため、虐げられた軽症患者から不満が生じた……」
「棚ぼた式に、近隣の極小医院が栄えたなぁ。最先端医療技術を駆使しているわけでもない。
それなのに、そこには自然と人が集まった。聞けば八神医院のよいところは『院長先生のお人柄』だと。
『氷穴病院』『陽だまり医院』……お前はこの言葉を聞いたことがあるか。いつの間にか触れ回り出した評判だ。俺は身が引きちぎれるかと思ったよ」
「だから、今回の事件を起こした」
「贖罪だよ。俺の病院を馬鹿にしたヤツら……そして、お前へのな」
「そんなの、ただの逆恨みじゃない! そんなことのために関係のない人たちを傷つけたの!?」
「黙れ小娘」
「……っ!」
……ダメ。隼斗や郁人くんが彼らの手中にある以上、私たちは絶対的に不利なままだ。
どうしよう……どうすればいいの?