「……貴様はそのために、彩子さんとの縁談を利用したのだろう」
「そうだ。あの女の両親に泣きつかれたんだよ。この家の財産は差し上げますから、どうか夫になってくださいってな。
ひどいヤツらだよな。自分たちの面目のために、紙切れの上で理想の跡継ぎ夫婦を作り上げたんだ。
まぁ、俺は女になどサラサラ興味もなかったし、資金が手に入れば文句はない。お望み通りよき夫を『演じてやった』けどな?」
……それが、悪夢の始まりだった。
「……ふふ、はははっ! それからは爽快だった! 医療機器の整備、優秀な人材の雇用、その他施設の充実!
患者はなだれ込むように俺の病院を求めた! その度に医療技術の向上をはかり、どんな難病でも治療できるような体制を整えた! 全ては俺の望んだ通りだ!!
……それが、あるときを境に患者は減少していった」