埃っぽい蔵に放り込まれて、どのくらい経ったのだろう。



「……隼斗」



 呼ばれても、顔を上げる気力がなかった。



「聞いてるの?」



 カツカツと近づくのは、魔の足音。


 自分を闇の中に誘おうとする……。



「起きなさい!」



 頬を衝撃が襲う。


 もう慣れた。


 痛みも何も感じない。


 次に聞こえてくるのは、あの女の、ヒステリックな叫び声だけ……。



「起きなさい隼斗! いつまで寝てるの! 目を覚ましてっ!」


「……っ」