「両親は躍起になって2人を引き離そうとし……その手として、大病院の御曹司との縁談を持ちかける。
娘は当然頷かなかった。受け入れなかった。挙句の果てには、男と駆け落ちをした……。
やがて子供を授かり、慎ましくも幸せな日々が娘に訪れた――束の間の、な」
それは、幸せな2人に訪れた悲しい出来事。
とても残酷な運命……。
「もうわかるだろう? 子供とは隼斗とお前のこと。そして、その親は彩子と――」
慌ただしい足音が聞こえた。
荒い呼吸が聞こえた。
「この男だ」
宗雄さんの視線の先、部屋に駆け込んで来たのは……。
「……八神、さん……」