「あるところに娘がいた。莫大な財産を相続する権限を与えられた娘は、ある日重い病気にかかる。
娘は自分の身体の異変を嘆きながらも、治療のためにある医大を訪れた。そこで偶然出会った若い研修医……その男はふさぎがちな娘を励まし、勇気付けられた娘は当然のように恋に落ちた」
……それはまるで、物語を読み聞かせているよう。
「2人は互いに励まし、助け、愛し合った。娘の身体も日増しに良くなっていき、病は完治するものと思われた。
2人は約束を交わした。病が治ったなら、共に人生を歩もうと……。だがそれに反対する者がいた。娘の両親だ」
これは……八神さんが言っていた話……。