「あなたは、それでも人の命を預かる医者ですかっ! 城ヶ崎の居場所を教えて!」
「それを聞いて、どうするつもりだ?」
「決まってるわ。あなたから引き離すのよ!」
「引き離して……その後はどうする? ここがこいつらの家なんだぞ? 他に帰る場所もない。母親もいない。
ふん、小娘風情がいきり立つなよ。……おい、郁人、何をしている。早くこの女を痛めつけろ!」
「俺は……出来ない!」
「何だと?」
「セラを傷つけるなんて、絶対に出来ない! どうしたんだよ親父! 何でこんなことを!」
「チッ……甘ったれたことを。それでもお前は、霧島の子供か!」
「家は関係ないでしょう! 郁人くんは郁人くんです!」
「黙れ小娘!」
「きゃっ!?」
畳へ叩きつけられた衝撃に顔をしかめるヒマもなく、にじり寄る宗雄さんを認める。