赤い陽が落ちる様子を、見覚えのある縁側越しに見た。
霧島家の客間に通されてすぐ、その縁側の板木を踏み締める足音を耳にする。
「この前ぶりだな、郁人」
「親父……」
「まぁそう強張るな。楽にしてくれ。そちらの女の子も」
向かいの座布団に腰を下ろす男性を見やる。
がっしりと広い肩、貫禄のある声。
同じお医者さんでも八神さんとはまるっきり違う。
この人が、郁人くんたちのお父さん……。
「親父、さっきの男は誰だ」
「ああ。彼は懇意にしている企業の人だ」
「病院の? とてもそうは見えなかったけど」
「人と人の関わり合う仕事だからな。色んな人に助けてもらっているんだよ」
「へぇ……それで、俺たちが呼ばれた理由は?」
「そうそう。本題を忘れてはいかんな。お前に大事な話があってな」
神妙な面持ちで居住まいを正す宗雄さん。
郁人くんが背筋を伸ばし、私もそれに倣う。