「……話そう。八神さんと、宗雄さんと一緒に」


「……え」


「これはもう家族みんなの問題だよ。今まで見過ごしてた部分を、ちゃんと解決させなきゃ」



 肩を抱いた手に力を込める。


 泣きそうだ。


 必死にこらえて、彼に伝える。



 あなたも、独りじゃないんだよ、と。



「……セラ」



 郁人くんは、私の手をギュッと握り返してくれた。


 きっと大丈夫。だから、さあ、立ち上がろう。



「お取り込み中のとこ悪いんですけど、ちょっといいですかね?」



 若い男の声がした。


 いつの間にか、見知らぬ男性が笑みを浮かべて私たちを見つめている。



「霧島郁人くんと……そちらは紅林瀬良さんですね?」


「どうして、私の名前を……」


「ちょっくらお時間いただいてよろしいですかね。城ヶ崎宗雄さんがお呼びなんですわ」