「……やっぱりあなたは、城ヶ崎に会いに行くべきです」


「……どうして」


「あなたが床に手をつくことを、城ヶ崎はきっと望みません。だからせめて、感謝の気持ちを伝えるべきではないのですか?」


「……こんな私が、ですか。彼ら家族を引き離してしまった、彩子さんを死なせてしまった、何も出来なかった私が……!」


「だからと言って何もしないのとは、話が違います!」


「……聡士くんっ!?」



 悲鳴のような制止が聞こえた。


 けれど僕は構わず、右の眼球を掴む。


 周りから見ればそれはそれはグロテスクな光景だろうけど、何のことはない。



 指先に薄い膜を感じると、それを掴み、引き抜く。


 突如とした行動が幕を閉じると……。