セラちゃんが出て行ってから、長い沈黙が流れた。


 この状況を、自分がどうにか出来るなんて思っちゃいないけど。



「八神さん、言いたいことは、ちゃんと言ったほうがいいですよ」


「……私は、彼らの人生を狂わせました。何も言い訳出来ません」


「違います。一緒にいたいなら、そう言ったほうがいいということです」



 不意に、八神さんが顔を上げる。


 暗い影を落としていても、真っ赤に腫れたその目が表すのは、疑いようのない彼の本心だ。



「本当に好きだったんですね。彩子さんたちのこと」



 だからこそ涙を流し、自らを責め続けてきたのだ。


 そんな彼へ向き直り、居住まいを正す。