「彩子さんが君たちのことを嫌っていたなんて、そんなことがあるはずないだろう! 血を分けた自分の子供であることに変わりはない!

 だってあんなに笑っていたじゃないか……彼女は本当に君たちのことを愛していた! 私はずっと見てきたからわかる!」


「……ずっと見てきたって……じゃあ、アンタは俺の何なんだよ!!」



 立ち上がりざまに白衣を掴まれ、今度は八神さんが言葉を見失う番だ。



「そりゃあずっと一緒にいたよ! アンタと一緒で、おふくろも楽しそうに笑ってて……本当の家族みたいだった!

 でも違うだろ! アンタたちは、何も足掻こうとはしなかっただろ! 親に逆らえないからって、立ち向かおうともしないで過ごしてたんだろ!

 それは全然かわいそうなんかじゃない! 臆病者だ!」