「でも八神さん、八神さんの言い方だと、城ヶ崎がまるで自分を犠牲にしたみたいです。お父さんのもとへ行くことが外れクジみたいな……。

 勘違いだったらごめんなさい。でも八神さんは、宗雄さんに対して壁を作っているようで……」


「いいですよ。その通りですから。この際はっきり言います。私は、宗雄さんのことをあまり快く思っておりません」



 郁人くんが身じろぐ。


 それを見て、八神さんが少し声の調子を落とした。



「家族を一度捨てた人に、父親が務まるわけがない。そのような人に隼斗くんや郁人くんを任せるわけにはいかないんです」


「八神さんの、その思いも引っかかるんです」


「……セラさん?」