「お前がどんなに抵抗しても、無駄だ。抵抗できるだけの資格すらお前にはない。なぜならお前は、実の弟を、自らの意思で拒絶したのだから」



 言葉が止まる。


 時間が止まる。



 ……そうか。


 そういうことだったのか。



 自分の心臓を、止めてしまいたかった。



 それが相手の思惑だろうと、自分を責めるほかなかった。


 自分が郁人を拒絶した。


 その事実だけが、意味を持つ。



 俺はまんまと、罠にハマッたのだ。



「……クソッ!」