こうなってしまっては、居ても立ってもいられない。
「もう来んなつっただろうが、あの馬鹿……っ!」
外はまだ黄昏時。
今からなら間に合うだろう。
「もぉ~、置いてきぼりはやーよ!」
「テメェ……いい加減にしろ。離せ」
「隼斗くーん、そんな怖い顔してたら、いい出会いがなくなっちゃうぞ? せっかく、オトモダチも新しい家族も心配してくれてたのに、もったいなーい」
「……待て。新しい家族……? どういうことだ」
「あら? 前に聞かなかったっけ? 郁人くんが、あなたと一緒に住みたいって言ってきてたのよね~。でも、隼斗くんはイヤみたいって返事しちゃった」
……耳を疑った。
何だって?
そんなこと聞いてない。
だってあのときは、何も……。