「心配ない。彼は全部知ってるよ。当事者だしね」
「……当事者?」
「今でこそこうして冴えない教師してるけど、以前は大学で研究をしていて……その研究っていうのが、人体の不思議について探求するもので」
「俺がコイツと会ったのは、10年と少し前か」
「こんな人でも有能なのは確かだから、この体質について色々と究明してくれた。そういうこともあっての、結構長い付き合いなんだ」
「そうなんだ……」
意外だったけれど、時間が経てば理解も追いつき、世の中狭いものだと実感する。
「土屋先生って、すごい方だったんですね。去年も担任をしてもらいましたけど、私、ごく普通の先生だと思ってました」
「俺は『そうかぁ、これが聡士の~』と思っていたぞ」
「はい? 私が若葉くんの、何ですか?」
「それはな……」
「あ――――――――――っ!!」