「お前もか!? お前も、暴行事件に関わってるのか!?」


「坊主……知ったような口ぶりだな。何を知っている?」


「……何っ?」


「どこまで知っている?」



 にじり寄られた分、後退する。



「バレたら厄介だな」



 胸倉を掴まれるのを、強引に上を向かされるまで気づけなかった。



「……う、く……ぁっ!」



 息ができない。


 抵抗できない。



 鉛のまぶたをこじ開けて見たものは、曇天のような、濁った目。


 不気味にギラつく目だった。





「――郁人くんっ!!」





 ……声が、した。


 誰かが駆け寄ってくる音も。


 朦朧とする意識で、顔をずらす。