目的地に着いて早々、私は震え上がってしまった。


 なぜなら、そこにお住まいの方に文字通り吠え立てられてしまったから。



「ギャンギャンッ!」


「ひっ!」


「セラちゃん、そんなに怖がらなくても平気。小型犬だよ」


「……本当に?」


「うん。トイプードルだし」



 それは安心していいのか、悪いのか。


 だってトイプードルって……。



「グルルル……」


「若葉くん、めっちゃ睨んでます。怖いです」


「うーん……」



 少し腕組みをした若葉くんは、その子に近付いて行って……。



「何をそんなに警戒しているの? 怖い顔をして、君も困った子だね……」


「――!!!」



 犬に話しかけた!?


 しかもなぜか色気駄々漏れ!