疑いたくない。けれど。



「先生、何か、知ってるんじゃないのか?」


「…………事件の捜査だなんて、危険に決まってるじゃないか」



 上手く言い逃れたつもりなんだろう。


 でも、間がすべてを表している。



「……郁人くん、隼斗くんは心配だけれど、警察だってちゃんと動いてくれる。信じて待つんだ」



 それは言外にこう言っている。


「この件に関わろうとするな」と。


 そうか……そうなのだ。



「――っ!」


「郁人くんっ!? どこにっ……!」



 ――お前たちの人生を狂わせた男だからだ。



 再度、父の言葉を思い出す。



 ――それを、心の底から否定できなくなっていた。