「……っ! 昨日、セラが不審者に襲われた。それだけじゃない。その犯人なんじゃないかって、兄貴が警察に捕まった」
「何だって、隼斗くんが!」
「絶対そんなの違う。セラもそう言ってる。先生は、暴行事件の患者さんたちを治療したんだろ? 何か聞いてないのか?」
「それを聞いて、どうするつもりなんだい」
「ほかの大人たちは、兄貴を疑ってかかってる。きっと何を言っても聞いてくれやしない。だから俺たちが兄貴の無実を証明して……」
「止めなさい」
「何で!?」
「危険な目に遭ったらどうするんだ。君に何かがあったら、私は彩子さんに面目が立たない。警察に任せて、大人しくしているんだ」
「……危険な目? 先生は、このまま行くと俺たちが危険な目に遭うと思ってるんだ?」
「――!」