「先生」


「うん?」


「親父のこと……どう思う?」


「宗雄さんのこと? いきなり、どうして?」


「いや、同じ医者だと、どういう風に見えるのかって思って」


「……そうだね。立派な医師だと思うよ。私なんかよりも大きな病院に勤めていて」



 ――お前たちの人生を狂わせた男だからだ。



 昨夜、その意味を問い詰める俺に、父は多くを語らなかった。


 けれど、最後に一言だけ付け足した。


「あの男は、俺を疎んでいる」と。



「……違う。違うでしょ」


「え?」