「郁人くん、どうしたの?」


「……え、あ、悪い。何だっけ?」


「その患者さんに事情を聞いたら、城ヶ崎のことが何かわかると思うの。だから今から八神医院に行こうと思うって話なんだけど……」


「駄目だっ!!」



 のどがヒュッと掠れた音を出す。


 叫んだ郁人くん自身も予想外だったようで、だけどすぐに唇を引き結ぶ。



「……セラは、昨日怖い思いをしたばっかだろ。無理して動かなくてもいい」


「でも、お兄さんのことだよ? 少しでも解決は早いほうがいいと思うわ」


「タダ先生には俺が話を聞いておく! セラは早く家に帰ってじっとしてろ。……おい、元眼鏡、セラを頼んだぞ」


「ちょ、待って、郁人くん!」