「……なるほど。それは確かに、病み上がりの俺にとっちゃ意識フッ飛びかねない事態だな殺す気か兄貴」
少し考えるような後、郁人くんが顔を上げる。
「その事件の被害者っぽい人なら、八神医院に運ばれてきたことがある」
「本当!?」
「ああ。俺が入院してた頃だから、まだ話が大きくなってないときだな。
ほとんどが軽症だったけど……なにせ頻発するもんだから、地味にタダ先生の神経削って…………タダ、先生……?」
「ねぇ、その人たちに話を聞いたら、何かわかるんじゃ……って」
それまで熱心に話をしていた郁人くんが、呆けたように地面を見つめる姿。
私は少なからず疑問を覚える。