「何でそんなこと言うわけ。意味わかんない」
《だが郁人、その辺の医者に診てもらうより、身内のほうが安心……》
「――親父、ふざけてっとマジでキレるぞ。
タダ先生は、俺がちいさいときからずっと診てくれてた人だ。優しくて、患者やその家族、医院の人からも信頼が厚い。
勉強積んだだけの薄っぺらい医者じゃない。アンタにそんなこと言われる筋合いねぇよ」
《郁人っ、俺はお前のことを心配して……!》
「心配ってなんだよ! おふくろのことはほったらかしだったクセに!」
叫んで、ハッとする。
怒鳴るつもりなんてなかった。
バツが悪くなって、でも素直に謝れないから、ぶすくれたまま続ける。