「しかし寺元先生、すべてを紅林のせいにするのはいただけませんな。それは生徒第一である我々教師の信念にそぐわないでしょう」
「……ですが!」
寺元の言葉をチャイムが遮る。
これ好機とばかりに、進行を務める教頭が口を開いた。
「それではここまでにしましょう。会議で報告された注意事項については、各クラスで連絡してください」
直後、寺元が苦虫を噛み潰したような顔をしたことを、その場にいた誰もが目撃し、受け流した。
「……面倒なことになったな。一応、呼んだほうがいいか」
しかし土屋が独りごちったことは、本人以外に知る者はなかった。