「セラ、どこ行ってたんだよ……って」
若葉くんに手を引かれて帰宅した私を見て、郁人くんが目を丸くした。
「……何かあったのか?」
「はは、大丈夫――」
「に見えない! 足下フラついてるじゃねーか! とりあえず座れ! 話はそっから!」
有無を言わさぬ勢いでリビングまで連行、そしてソファに座らされる。
やがてドスの利いた声で、若葉くんが呟く。
「――クソ野郎をブン殴ってきました」
……たった一言。
だけど郁人くんは察してくれたのか、真剣な表情で続きを促す。
私の代わりに、事情は若葉くんが説明してくれた。