「急いで買い物済ませなきゃ……」



 行きよりもさらに早足で歩き出す。

 来た道を戻ればいいだけなんだけど、なにせこの辺りは来たことがない。


 静まり返った空気と見慣れない景色が作用して、ビクビクしながら歩を進める。

 そんなとき、冷たいものが首筋を撫でた。



「ひゃあっ!?」



 持っていた竹刀を取り落としそうになって、必死でふんばる。


 でも一瞬のことで、冷たい感触はすーっと引いていく。



「なんだ、風か……」



 地味に疲れる……早く用事を済ませて帰ろう。


 勇気を振り絞って足を踏み出すと、パキ、と小枝を踏む音が。


 足下を見てみる…………私、じゃ、ない?