「待たせたな」 客間に入ってきたのは、がたいのいい男。 「……親父」 お守りをしまい、居住まいを正した。 「仕事は?」 「今日は昼からだ。それまでなら時間はある。それで、話というのは?」 息を呑む。 心の準備は万端であったが、いざ目の前にすると身体が強張る。 どうせ後には引けないのだから、意思を固め、ぐっと視線を上げた。