すらすらと出てくる答えは、郁人くんが真剣にこれからを考えていたことを表している。


 きっと頑なな意思なのだろう。


 なら、私が口出しすることはない。



「わかった。私は、郁人くんを応援してるから」



 頷いたときに見えた郁人くんの笑顔と、ちいさな希望。


 真っ暗だった彼の道にも、やっと光が差したのだろう。


 私にできることは、彼の歩んでいくさまを見守ることだけ。


 それでもよかった。流れゆく時が、彼を置き去りにしないならば。