朝の会議室に、怒号が響き渡る。
「一体どういうおつもりなのですか!」
「寺元(てらもと)先生、少しお声が大きいかと……」
見かねた隣席の女性教諭がなだめるが、怒号の主は一向に引き下がろうとしない。
「我が光涼高校は生徒自治の自由な活動を認めてきましたが、それは生徒個人の責任感があって初めて成立するものです。
しかし、ふたを開けてみれば不良生徒がはびこっている。この状況をどうお考えか、ぜひあなたの見解を伺いたいものですね、土屋(つちや)先生」
厳しい視線が机の一角の人物を捉える。
そこに座っていたのは、寺元とは対照的な、清閑な男性教諭だった。