「帰れ」
「城ヶ崎っ!」
元気づけたい。励ましたい。
その一心で声を上げようとした。
だけど見てしまった。
城ヶ崎の、苦しみに歪んだ顔を。
「帰れ。……帰ってくれ」
視線は伏せ気味、声は絞り出すか細さ。
彼は心の中で叫んでる。
「寂しい。助けて」と。
だから私は、もう聞き逃さない。
「辛いことがあるなら抱え込まないで。あなたは独りじゃないんだよ。
郁人くんだけじゃない。私や、若葉くんや、朝桐くんたちだっているの。あなただけが頑張ろうとしないで!」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…