「何しに来た」



 意識を引き戻す低い声。


 敷居を隔てた向こう側に、彼が来てくれていた。



「城ヶ崎! どうしても謝りたくて来たの。私、あなたの気持ちを考えずにひどいこと言っちゃった……ごめんなさい!」



 突然頭を下げた私に、城ヶ崎はわずかだが戸惑っている様子だった。



「あなたの悲しみを完全にわかってあげられないかもしれない……でも! 力になりたいの!」


「……つい最近まで郁人郁人と言っていたヤツが、今さら何を」


「友達だから!」


「っ!」


「お父さんに言われたからとか、あなたたちが可哀想だからじゃない。本当に大切だと思うから、力になりたいの!」



 黙り込んだ城ヶ崎は、どこかやつれている……。