思い出の多さを表す写真の数。
古かったり、新しかったり。
赤ちゃんだったり、学生だったり。
会ったことのない私でも、彼女がとても優しく笑う人だったってことがわかる。
会ったことがなくても、この人がもうここにはいないんだって思うと、胸が痛む。
……だったら、城ヶ崎も郁人くんも、悲しみはこんなものじゃなかったはず。
「すごい量だね。でもおかしいな。こんなにたくさん写真があるのに、城ヶ崎や郁人くんと映ったものが1枚もないなんて」
「……若葉くん、ちょっといいかな。実は、前々から気になっていることがあるの」
若葉くんは手にしていた写真を置いて、私と視線を合わせる。