「……若葉くん、これ!」


「うん、写真? これは……郁人くん? ……いや、違うな」



 大学生くらいだろうか。

 学校で撮られた、友人間の何気ない1枚のようだ。


 中央に、郁人くんとよく似た栗毛の人がいたんだけど、周りの男性に比べて華奢な身体つきや柔和な顔立ちが、その人を女性だと示してくれた。



「もしかして、この人が彩子さん?」



 周囲に視線を配り、ほかにもたくさんの写真が飾られていたことに気づく。

 ある写真を裏返すと、黄ばんだふちに几帳面な字でこう書いてあった。



『彩子 16歳』