隼斗くんには、その気があったらここに来るよう言ってあるから。
待ってても来ないようだったら、暗くならないうちに帰りなさい――
おじいさんからの言付けを伝えたさゆりさんは、城ヶ崎の部屋に程近いという一室に私たちを通し、仕事へ出掛けて行った。
「来るかな……城ヶ崎」
「来るよ。来なかったら、今度会ったときに食い殺す」
「あはは……ごめん若葉くん、それ笑えなかった」
それっきり黙ってしまうと、和室はしんと静まり返る。
落ち着かない私は、キョロキョロと辺りを見回し……
「ん?」
視界に飛び込んできたものへ、つい手を伸ばす。