広い座敷の客間に通され数分。
「お待たせー。緑茶しかないけどいーい?」
「どうぞお構いなく!」
お盆を片手にやってきた美人さんは、おじいさんを連れていた。
「よくいらっしゃいましたな。私は隼斗の祖父。あいにく孫は人に会いたくないようで、このような老いぼれが迎えること、ご容赦願いたい」
「ご、ご丁寧にありがとうございます!」
「カタイいですよーお義父様。もうちょっと砕けてお話しなきゃ。
ハーイ! あたしは隼斗くんのお母さんになる予定の、さゆりって言いまーす。さゆちゃんって呼んでね!」
……お母さんになる予定?
じゃあこの人は朝桐くんたちが言っていた、城ヶ崎のお父さんの再婚相手……。
合点はいったのに、それはある不審を助長させるという矛盾を生み出した。