朱にかすむ夕陽が、西の空に沈み始める。
「瓦屋根に石塀。あそこに見えるのは縁側? ……若葉くん、目の前にものすごい日本家屋が」
「ホント、お城みたいに立派だよね」
「城ヶ崎ってこんなすごいお家に住んでるんだ……」
「あら? 珍しいお客様ね。もしかして隼斗くんのオトモダチ?」
ゆったりと艶のある声に振り返る。
有名ブランドのバッグを提げた20代後半くらいの美人さんが、首を傾げているところだった。
「はい! プリントを届けに来ました!」
「わざわざありがとね。せっかくだし上がって上がってー」
美人さんは慣れた手つきで門の鍵を開け、私たちを迎え入れてくれた。