「やるな、お前」



 私にプリントの束を手渡しながら、土屋先生がこんなことを仰いました。



「何のことですか?」


「聡士のことだ。アイツ、最近はものの見事に空回ってばかりだったが、遂にやったらしいな」


「若葉くん、何かに成功したんですか」



 私の言葉に土屋先生はなぜか苦笑い。



「まぁ、お前といるだけでハッピーになれるようなおめでたい男だ。広い心で受け入れてやってくれ」


「もちろんです先生。いつだって私は若葉くんどーんと来いです!」


「はっは。それをアイツの前で言ってやれ。きっと泣いて喜ぶ」


「そ、そんなにですか?」


「ああ。もし違ってたら、俺はモノフルオロ酢酸ナトリウムを服薬して、光涼商店街を練り歩いてやるよ」