やがて、人影が消える気配がした。


 だが1人分だけだ。



「……何の用だ」


「あら? よそ見してるのによくわかったわね。うふふ、やっと2人っきりで話ができるわ♪」



 嬉しーなー! と舞い上がる女に向き直り、一言だけくれてやる。



「下手な小芝居だな」



 つと、化け猫が動きを止めた。


 じっとこちらを見つめてきた後、艶やかな唇が弓なりに曲がる。



「何のことかしら?」