「隼斗、帰っていたのなら声をかけたらどうなんだ?」



 問いには答えない。


 無駄だと思うから、余計な労力消費は避ける。


 ただでさえ、今は話しかけられることが苦で仕方ない。



「ねーえ、宗雄(むねお)さん、そっとしておいたほうがいいんじゃなあい? オトモダチとケンカしたみたいよ」


「本当か? さゆり」


「本当よぉ。それよりも、明日は大事な学会があるんでしょー?」


「うーむ。そうだな」