助けを求めたいのに求められないのは、理由があるから。

 私がそうだったように。


 ……気づくのが遅かった。



「セラちゃん……」


「っ、甘やかさないで!」



 腕を伸ばす若葉くんが見えたから、とっさに距離を取った。



「優しくしないで! じゃないと、私……」



 お父さんに言われた。「頼むな」と。

 なのにこんなにも早く音を上げるなんて、情けない。

 
 若葉くんが顔を歪めた次の瞬間――いつの間にか、私は彼の腕の中にいた。



「……え?」


「『甘やかすな』とか『優しくするな』とか、そんなものは関係ない。

 弱っている姿を前にして、どうして黙っていられる? 放っておけるはずがないだろう!」



 いつもの若葉くんとは違う。

 壊れ物を扱うようにそっと触れてくる感じではない。