「それって、30代半ばくらいの、優しそうな人?」


「いやいや違う。あれはもっと歳いってた。確かアイツの父親だっつってたけど」


「父親!? その人は城ヶ崎になんて?」


「そう! それなんだけど、よく覚えてなくてさ!」


「肝心なところで役に立たないヤツ……」


「うっ、うっせーな! 昔のことだからちょっと忘れてるだけだ! 待ってろ、すぐに思い出してやるからな!」



 朝桐くんはう~ん、う~んと腕組みをして考え始めた。

 黙って見守ること数十秒。