着替えを済ませ、荷物をロビーに置く。


 勤務後、病室のある2階に上がり部屋を見て回る。それが八神の日課だった。

 17床しかない医院だ。それほど苦でもない。



「3号」と記された部屋へ入る。

 ここには高齢者が3名いる。



「お元気ですか。ミエさん、フデさん、ハナさん」



 八神の姿が見えると、ベッドに伏せっていた3人が一斉に声をあげた。



「先生!」


「おやまぁ、八神先生だわ」


「もうお帰りですかー」


「ええ」



 八神は微笑んで3人に歩み寄り、ベッドのそばに屈み込む。