「お前は……誰?」


「ひどいな。覚えてないのか? 僕だ、クラスメイトの堀川(ほりかわ)」


「堀川……ああ」



 いたっけな。そんなヤツが。


 堀川は制服姿で通学鞄を提げている。

 ダークグレーのシャツにシルバーのネクタイ。

 左胸には金糸で校章の刺繍。

 久しく目にしていない、私立星麗学院の制服。


 ボンボン学校らしくやたらと派手で、正直言ってあまり好ましくはない。

 だが目指すものを掴み取るのなら、制服よりも大事なものがそこにはあったのだ。



「堀川……は、こんなとこで何してんの? ウチじゃまだ授業あるだろ」


「はは、見舞いに来たんだよ」


「見舞い?」



 そんなことされる仲だったか?

 こっちは顔も名前も覚えてなかったのに。