「おや? 郁人くんどうしたんですか?」 「さぁ……でも元気が戻ったみたいでよかったです。じゃあ私、失礼しようかな」 「もうお帰りですか? 郁人くん、セラさんが帰るって」 「……勝手に帰れば」 「そんなこと言わないで。見送らなくていいのかい?」 「いいんですよ、八神さん。顔を見られただけでよかったですから」 そう言えば八神さんは、「では、そこまでお送りしましょう」とおっとりした笑顔を浮かべたのだった。